昔、昔、本当にむかあーし、あれはわたしがまだまだ純真無垢な幼稚園児の頃だった。
毎日、幼稚園でビンの牛乳が配給されていたような記憶がある。
今、考えれば、ビンと言えばビンビールの1本でも配給されたいものだが、やはり当時は幼い子には牛乳が定番だったのだ。
が、牛乳をどうしても飲めない子には、牛乳をイヤでも飲めてしまう子から見ると、光り輝いて見える「フルーツ牛乳」とやらのビンが配給なのだ。
「フルーツ牛乳」・・・いったいナニモノだ?
どんなフルーツが入っているのだ?
ただただ、まぶしいそのビン。
欲しい、飲みたい、味わってみたい。
幼心に、自分は何で牛乳が飲めてしまうのか?哀しかった。
「フルーツ牛乳」の輝きに、目を細めながら肩をガックリと落として牛乳を飲んでいるわたし。
ある日突然、牛乳が飲めない!と胸をはって断言してみたかった。
だが、今更それはムリだということも自分自身が一番わかっていたのだ。
欠席していた子のぶんの牛乳も飲んでいたわたしだからだ。
ああ、アコガレの「フルーツ牛乳」さま。
今日はなぜか、あなたを思い出してしまったのだ。
あなたのお姿をとんと見ない。
今はいずこへ・・・?
今日の一句・・・「今ならば ビンと言ったら ビールのみ!」